保護司は民間のボランティアです。
更生保護は、地域の中で行われるものであることから、犯罪や非行をした人を取り巻く地域社会の事情をよく理解した上で行わなければ効果がありません。
そこで、地域の事情に詳しい民間の方々の力が是非とも必要となります。
保護司は、保護司法に基づき、法務大臣から委嘱を受けた非常勤の国家公務員(実質的には民間のボランティア)であり、保護観察官(更生保護に関する専門的な知識に基づいて、保護観察の実施などにあたる国家公務員)と協力して、主として次のような活動を行っています。

保護司記章
保護観察
更生保護の中心となる行動で、犯罪や非行をした人に対して、更生を図るための約束ごと(遵守事項)を守よう指導すると共に、生活上の助言や就労の援助などを行い、必要な受け入れ体勢を整えるものです。
生活環境調整
少年院や刑務所に収容されている人の釈放後の帰住先の調査、引受人との話合い、就職の確保などを行い、必要な受け入れ体勢を整えるものです。
時には、少年院や刑務所に出向き、本人との話し合いも行います。
犯罪予防活動
犯罪や非行を未然に防ぐと共に、世論の啓発や地域社会の浄化に努めるものです。
毎年、7月は『社会を明るくする運動』強調月間として、街頭キャンペーン、講演会、作文コンテスト、シンポジューム、スポーツ大会など、さまざまな活動を展開しています。
また、学校との連携強化にも努めています。
社会参加活動
社会参加活動とは、「保護観察を受けている人の社会参加を促す効果を持つ活動」を広く指すもので、具体的には公園の清掃・老人ホームでの介護活動・知的障害者施設での交流活動などがあります。
このような活動を通じて、参加者が様々な人々と触れ合い、自身が社会的に有意義な存在であることを実感していくことを目的としています。
社会貢献活動
社会貢献活動とは、保護観察中の人たちが地域社会に貢献する活動を行うことを通じて、立ち直ることを目的としています。
社会の役に立つ体験を通じて、人の役に立てるという感情や社会のルールを守る意識を育みます。
活動の内容は、公共の場所での清掃や、福祉施設での介護補助のほか、落書き消しや除雪など、地域のニーズに応じて幅広い活動を行います。
活動は継続的に行います。
活動に参加するのは、保護観察中の人たちで、一定の期間に複数回参加します。
就労支援活動
犯罪や非行をした人が立ち直るためには、就労し、生活の安定を図ることが大変重要ですが、こうした人々は、その前歴ゆえに定職に就くことが必ずしも容易ではありません。
福岡県就労支援事業者機構と連携を図り、協力雇用主の発掘確保並びに仮釈放者等保護観察対象者に係る就労支援事業を展開する。
保護司の一ヶ月の活動
毎月、保護観察対象者が保護司の家に訪問(来訪)したり、保護司が対象者の家に訪問(往訪)したりします。
そこで、保護司は対象者の最近の生活状況などについて話し合い、相談に応じて、指導・助言を行います。
保護司は毎月一回、これらの内容を「報告書」にまとめ、保護観察所に提出します。
保護観察中に何か問題がおこったときには、保護観察官に連絡しアドバイスを受け、再犯防止に努めています。
また、年4回の研修会等を通して自己研鑽に励んでいます。
保護司について
どのような人が保護司になっていますか?
保護司は、法務大臣から委託された非常勤の国家公務員という身分で、いわば、給与が支給されない民間のボランティアということになります。
会社等を定年退職された方はもちろん、現に仕事をされている方、主婦の方など様々な方が保護司になっています。
ただし、保護司となるためには、原則として65歳以下であること、保護司活動をする熱意と時間的な余裕があること、健康であることなど、いくつかの条件があります。
また保護司は全国に約5万人配置されることになっています。
保護司とは具体的にどのような活動をしている人たちなのでしょうか?
具体的な活動としては
- 保護観察を受けている人(保護観察対象者)と面接を行い、指導や助言をすること。
- 刑務所や少年院にいる人が施設を出た後に帰る場所の環境を調整すること。
- 犯罪や非行を予防するために地域での啓発活動をすること。
- 保護司の活動に必要な関係者や協力者のネットワークづくりをすること。
などがあります。
保護司は、個別に活動することもあれば、地域の「保護司会」と呼ばれる組織単位で活動することもあります。
保護司の仕事は、難しそうで一人でやるのは大変ではありませんか?
保護司が、保護観察対象者の担当者として行う面接や生活指導の方法などについては、専門家である保護観察官(国家公務員)と連携を取り合う中で、様々なアドバイスがなされます。
また、保護司は、経験年数や適正に応じた各種研修会を定期的に受講することになります。
さらに、保護司が所属することになる保護司会には多様な経験を持つベテラン保護司がおり、助言や意見交換などがなされます。
犯罪や非行をした人と接することに不安はないのでしょうか?
犯罪や非行をした人の多くは、些細なことであきらめたり、投げやりになってしまいがちです。
こうした人たちの相手は気軽にできるものではありません。
また、確かに犯罪や非行をした人は怖いという印象がありますが、一人の人間として尊重し、真剣に話を聞くなど、保護司が温かく、また正面から向き合うことで、多くの人たちが立ち直っています。
保護司活動の費用はどうなるのですか?
保護司は無給のボランティアですが、活動実費が一定の基準により支給されます。
例えば、国で定められた範囲での保護司活動の経費や、国が実施する保護司の研修会の参加費・教材費などがこれに当たります。
また、保護司として職務中、または職務上の移動中に、けがをした場合には公務災害補償の適用を受けます。
保護司以外に、更生保護に携わる人たちはいるのでしょうか?
保護観察官や保護司のほか、多くの民間の方々の協力によって更生保護は成り立っています。
- 更生保護施設
全国に103か所ある民間施設で、犯罪や非行をして行き場がなくなった人を一定の期間保護しています。 - 更生保護女性会
女性としての立場から、地域の犯罪・非行の予防活動や、子育ての支援活動などを行っており、全国に約17万人の会員がいます。 - BBS会
「兄」「姉」の目線で、少年たちとふれあうなどの活動をしている青年ボランティアの団体で、全国に5千人の会員がいます。 - 協力雇用主
前歴にこだわらずに保護観察対象者等を積極的に雇用し、自立を支援している事業者で、全国に1万6千事業所あります。
学校と保護司
近年、中学生の保護観察対象者が多数いることや、少年非行を未然に防ぐという観点から、更生保護と学校との連携を一層強化することが求められています。
各地においては、その地域の実情に応じて、青少年の薬物乱用防止を訴えるための「薬物乱用防止教室」や犯罪予防活動のために学校と連携して行う「保護司と学校との協議会」の設置、学校行事への参加、“社会を明るくする運動”の作文コンテスト等の各種行事に対し協力を依頼する等、様々な活動が行われています。
東保護区では、公立の中学校が15校、小学校が30校あり、全ての小中学校に学校対策保護司を配置して、学校との連携に積極的に取り組んでいます。